人生はどちらかというと多少苦痛を伴うものなんですね。でも苦痛だけではない。

今日の言葉

NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』
2015年10月26日放送 坂東玉三郎さん×岡村隆史さんの対談より

人生はどちらかというと多少苦痛を伴うものなんですね。
でも苦痛だけではない。
ただ、どうだったかと聞かれると、幸運だったと思います。
他の方から見たら、すごく幸せな人生に思われるでしょうね。
ということは、幸せだったのだと思います。

華やかな舞台に立つことができたのは、夢の夢が叶った人生だったと思います。
オタクというか、何かに集中したらそれしかできないような子どもだった。
それが今、こんなふうに人生とはどのようなものだったか、なんて話せるような位置に来れたということは、夢のような人生だった。
世界を旅して、いろいろな劇場に招いてもらえたり、だなんて考えてもいなかったので。
幸せでしたね。

人生は苦しいもの。でもそれだけじゃない。

ポジティブ一辺倒ではなくて、
基本的には苦しいものだけど、楽しい・嬉しいこともあるよね、という捉え方が好きです。
きわめて現実的でありながら、ネガティブな感情に浸り過ぎるわけでもなく、あくまで前向き。
そんなバランス感覚がとても素敵。

私自身はどちらかと言うと内省的な人間なので、
ネガティブをポジティブで上書きするような、感情に蓋をするような捉え方ってあまり好きでは無くて、
ネガティブなことにしっかり向き合って、そのまま受け入れて乗り越えて、最終的に前を向いていきたいタイプなのです。
だから人生のネガティブな側面もしっかり受け止めて、でもポジティブで締めくくるこの言葉が好きです。

「幸運だった」という捉え方

伝統ある歌舞伎の世界で、稀代の女形として最前線で活躍し続け、人間国宝にも選ばれた玉三郎さん。
幼い頃から歌舞伎が大好きで、歌舞伎の舞台に立ち続けるためにストイックに努力されてきた方です(ご本人は努力だと思ってないでしょうけど…)。
きっと他人から羨望と尊敬の眼差しが絶えないでしょうが、彼には彼の、計り知れない苦悩があったはずです。
だから決して「最高でした」とか「世界一の幸せ者です」という言葉で体よくまとめたりはしない。
かと言って「辛かった、苦しかった、みんな分かって!」なんて苦労アピールもしなければ、「すべて私の努力で乗り越えました」なんて自己陶酔もしない。
ただ「幸運だった」と。

苦しかったことも、それを乗り越えるために悩んだ時間も、幸せだった瞬間も、
すべて否定せず、肯定し過ぎることもなく、ただ受け入れて自分なりに消化してきた。
だからこんな言葉を紡げるんでしょうか。

坂東玉三郎さんのことをもっと知りたい方は、
「プロフェッショナル 仕事の流儀」を視聴いただくことをお勧めします。
今回取り上げた言葉は芸人・岡村隆史さんとの対談時のもので、残念ながらDVD化はされていないようですが、
坂東玉三郎さん個人にフォーカスした放送回はDVDに収録されています。

プロフェッショナル 仕事の流儀
妥協なき日々に、美は宿る 歌舞伎役者 坂東玉三郎の仕事

気になる方は是非!

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